特定非営利活動法人上越地域活性化機構(ORAJA)新潟県上越市・妙高市|IT技術を基盤技術として提供し、地域や産業の活性化に尽力します。

株式会社 SIC桑原

1.テレワークに導入までの経緯

(1)RASの導入(2018年8月)

2018年8月に導入した、RAS(Parallels Remote Application servur)から始まりました。
弊社はWebGIS技術、ドローン技術、3Dデータ取得・解析技術を活かし、その技術を必要とする全国の企業への受注拡大を目指してきたなかで、出張先でも測量・設計専用CADなどを、デバイスを問わずリアルタイムな操作性を実現するローカルの作業環境の必要性に迫られ、約100万円を投じて環境を整備、先ずは最小15ライセンスを契約して運用を開始しました。

出張先の現場はもちろんですが、一番嬉しかったのは役員・管理職でした。何時でも何処でも会社のサーバーにアクセスできることから、時間の制約から解き放たれ、気持ちに余裕が出来たことです。

また、ちょうどそのころ働き方改革法案が制定されたころでもあり、業務における簡単なデータ入力は、RASの活用することで将来的にはパートタイマーの在宅ワークでも十分可能であるとも考えていました。

(2)社内LANを全社無線化へ

RAS導入に伴い、幾たびの座席配置変更による既設LANの接続構成の複雑化と混雑解消及び管理性向上を目的に全社無線化を実現しました。これにより快適なネットワーク環境を整備したことが、コロナ禍でのソーシャルディスタンスを確保した作業環境への移行がスムーズに対応できました。

現在は作業デスクの間隔は2m以上、向い合わせの席の中央には飛沫防止スクリーンを設置して作業をしています。

*写真:社内2階業務フロアー

(3)新型コロナウィルス感染対策としてテレワークを導入

新型コロナ感染拡大の収束の兆しが見えない中、東京都のGOTOキャンペーンが解除され経済活動が活発化すると、地方にも感染拡大の可能性が十分考えられます。

もし社員に感染が確認された際に、テレワーク環境が無く通常勤務のみの状態の場合、全社休業処置がとられる可能性が高く、その期間も社員数が多くなればなるほど、大きなクラスター発生により数か月に及ぶことも想定され会社にとって甚大な損失が発生する可能性も否定できません。テレワーク環境が整備され実施されることで、クラスターが最小限に抑えられ、休業することなく事業を継続することが可能になります。

全社休業の場合は、その損失額もテレワークの環境設備資金の数十倍に及ぶと考えます。業種によって導入効果は違いますが、早めの検討・導入が事業継続の重要なポイントであることは間違いないかと思います。新型コロナが終息したとき日本は大きく変わっていることが想定されます。Society 5.0の現実社会に向けて飛躍的に加速するのではないでしょうか。

弊社では、緊急時の在宅勤務に対応できるよう、令和2年3月13日にテレワーク環境整備(年間ライセンス30本)を完了し、課題である新しい生活様式でのコミュニケーションの円滑化に取組んでいます。

なお、この事業には厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(新型コロナウィルス感染症対策のためのテレワークコース)」の交付決定(100万円)を受け、実施しました。

2.テレワークの目的

テレワークの目的は、総務省によれば、次の8つが挙げられます。
(1)少子高齢化対策の推進
(2)ワーク・ライフ・バランスの実現
(3)地域活性化の推進
(4)環境負荷軽減
(5)有能・多様な人材の確保と生産性の向上
(6)営業効率の向上・顧客満足度の向上
(7)コスト削減
(8)非常災害時の事業継続

新型コロナに渦中及び終息後の経済社会で、
特にポイントとなるのは次の3点ではないでしょうか。
(1)労働力の確保
 少子高齢化対策の推進、ワーク・ライフ・バランスの実現、有能・多様な人材の確保生産性の向上
(2)生産性の向上とコスト削減
 通勤、移動時間の削減、迅速な顧客対応の実現
(3)災害時の事業継続性
 大規模災害及び新型感染症など、自然災害時の自宅やサテライトオフィスからの業務継続、大規模感染等のパンデミックへの対応

3.導入にあたっての改善点と今後の課題

(1)導入にあたっての改善点

テレワーク導入に当たり社員アンケートを行い結果は次のとおりでした。

1)自宅にネットワーク環境が無い 従業員の 13%
2)ディスクトップPC又はモバイルPCを持っていない従業員の 34%

特に、2)については、スマホがあれば、特に必要性が無いとの理由であった。
これを解決するため、会社として補助金を出すことを条件に、社員全員にインターネット環境及びPCの購入を勧め、PCについては会社で10台程のテレワーク用のノートPCを購入し、有償で貸出すことを条件に、全員がこれに応じテレワークの環境を整えることができました。

会社内外のコミュニケーションが希薄にならないよう、Web会議ツールも同時に導入し、テレワーク実施時は、Web会議による全員朝礼も実施しました。

(2)今後の課題

1)生産性が低下することへの不安
2)目の前にいない従業員への評価手法が定まっていない
3)「チームワーク」や「一体感」「コミュニケーション」不足が発生する
4)現場作業従事者は出来ないなど、社内での不公平感が出てくる

これらの課題を解決すため、勤怠管理、有給管理、入札情報、受注状況、業務進捗状況などを、Web上で総合的管理が可能な「総合生産管理システム」を導入しました。
これにより、コミュニケーションをどう取るかが最大の課題になります。
このような不安から、テレワークの導入に踏み切れない企業は多いのではないでしょうか。

*図:導入した「総合生産管理システム」のトップ画面

会社概要
会社名株式会社 SIC桑原
所在地〒943-0873 新潟県上越市大字西田中62番地14
事業内容国土調査、測量、設計及び監理・公共工事等に伴う各種補償業務、地理情報システム(GIS)、ドローン空撮及び画像解析、ICT施工に伴う3Dデータ作成、Webによる情報通信サービス、Webサイトを通じた通信販売・ポスター・チラシの作成・印刷、測量機器・電子通信機器販売

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